--ツタのからまる店--家並みを描く水彩画の技法は、Wet-in-wetを用いず、ホチキス水張りをした板を、イーゼルに立てかけて描くというやり方で、オーソドックスな方法で描きます。 アメリカなどの作家は、このスタイルで水彩画を描く人が多いようです。 イーゼルに立てかけると、塗った色が下にたれますが、慣れてくるとその垂れを利用できるようになります。 では、スタート!!
全体の構図を考えます。 小さなスケッチを描いて考えます。 左上の構図にしました。 (右上のスケッチは別の作品のものです。) |
|
■ 鉛筆下描き1鉛筆で下描きをします。 絵の描き方で大切なことは、全体を見ながら描いていくことです。 一部だけを細かく描かないように・・・
|
|
■ 鉛筆下描き2全体のバランスが良し、となったら、少しずつ細かいところを描いていきます。 私の場合は、鉛筆ではあまり細かいところまで描かずに、この辺でやめておきます。 これ以上は、色を塗りながら描いていきます。
|
|
■明るいところから塗る水彩画の色を塗る順番は、 具体的には空を一番先に塗ることが多いです。 空の部分をウルトラマリンに赤系のいろを少し混ぜながら手早く塗ります。 油絵のようにイーゼルに斜めに立てかけて描いています。 Wet-in-wetを使わず、イーゼルに立てかけて描く描き方は、ドライヤーが使えない現場で描く方法です。 家のところ、道路のところの暗めのところまで、薄く同じ色見で塗ってしまいます。 |
|
■ 屋根を塗る屋根の赤色を塗ってみました。 この色はパーマネントローズにイエローを混ぜて作っています。 この色で仕上がりではありません。 全体を塗ってから、また何回かこの上に色を重ねるつもりです。 |
|
■ ツタ、影などを塗るツタのところを大まかに塗ります。 同時に屋根、右下の影なども塗ります。 このようにツタのところを一度に仕上げてしまわないで、全体を見ながら、同じくらいの色の濃さのところを塗っていきます。
|
|
同じように、全体を少しずつ塗って仕上げていきます。 ツタの家の右隣の家の壁は二度目を塗っています。色の濃さが違うのがわかると思います。 人物にも色を少し加えました。 |
|
細かい部分を描くここまでくると楽しいです♪ 水彩画で絵具で塗るというのは、鉛筆で下絵を描いた塗り絵のように上に色を乗せるだけではありません。 水彩画でも、絵具で「描いて」いきます。これこそペインティングですね。 ツタのからまる店の右側の看板や、下前の街灯を見れば分かりやすいと思いますが、鉛筆は大雑把なラインしか描いていません。 しかし、筆で色を塗りながら、より細かくリアルに描いています。 これは油絵の技法と似ていますね。 |
|
同様にして、細かいところを絵具を塗りながら描きこんでいきます。 人物も描きこみます。
看板のアールヌーボーっぽいデザインが気に入ったので、少し細かく描きます。 全体が少し寒々しいので、オレンジ系の色を全体に乗せてみようと思います。 |
|
■ 完成!「ツタのからまる店」 2009年 倉敷個展出品作品 全体に暖色をぬり、あたたかい感じにしました。 (まとめ)ポイントを整理してみましょう。 1)明るいところから塗る。 2)全体を見ながら、少しずつ色を塗っていく。 3)色を塗りながら細かいところを絵具で描いていくのであって、鉛筆の下描きに絵具を塗り絵するわけではない。 4)何回も色を薄く重ねて、深みのある複雑な色にする。 以上です。 いかがでしたか? 今回はWet-in-wetをあまり用いないオーソドックスな技法の紹介でした。 描きながら、その町に入ってしまいますよ。 さあ、水彩画を楽しみましょう! |
水彩画インフォメーション