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水彩画インフォメーション

水彩画の描き方を基礎からご説明しています。基礎的な水彩画のテクニックの他に、オリジナルな描き方・水彩画のQ&A・・etc。 動画の説明も、どんどん追加中!

■美○年鑑の実態-2 

結論を書いてしまうと、
この「美○年鑑」というものは、作家(自称も含む)から掲載料をとって、印刷しているだけなのだ。

古い人から順に上の方に掲載され、少しずつ絵の価格(号数ごと)も上がっていくパターンが多い。

 

掲載料(最低1万〜2万円くらい)を払うと、最初は一番下に掲載される。
毎年毎年、払い続けると、死亡したり、もうやめた!という退会者が出た場合、
その人の分だけ席がずれて上がってくるのだ。

数年掲載料を払い続けると、途中でやめるのがおしくなる。

「せっかく、ここまで上に掲載されるようになったのだから・・・・がんばろう・・」
と、思うらしい。

もちろんこの年鑑に掲載された値段で絵が売れるはずもない。


前回の記事を書いた2,3日後に、この手の年鑑出版社から封書が届いた。
「あれ?ブログの記事に怒ってクレームかな?」
と、思って開封してみると。
来年度の掲載募集の案内だった(^^;

ちなみに1ページいっぱいに作品も載せることもできる。
その場合の掲載料は、20〜30万円だそうだ。

最低が1〜2万、最高が30万。
この世界もお金次第で、だれでも?大作家のように年鑑に載せることができるのだ。
(年鑑の権威を高めるために、無料掲載の作家先生がいることは想像できる・・)

公募団体などに長くいて、いつの間にか審査員のレベルになった人は、
まだ絵を少なくても一年に2,3枚は描いているだろう。

しかし、年鑑の類は掲載料さえ払っていればいいのだから、全く描いていない人でも、
少しずつ上の方に掲載されるようになる。
僕の想像だが、実際にプロとして活動している作家は2、3%に過ぎないのではないだろうか。


ギャラリーのオーナーで、
見識のある人は最近ではこの年鑑類を置くのをやめている人もいるが、
特に地方ではまだまだこの手の年鑑が置いてあったりするから、
くれぐれも影響を受けないように気をつけてほしい。

この年鑑に載っていようがいまいが、作家のレベルや、その絵の質とは何の関係もない。
大事なのは、あなたの心がその絵に震えるかどうかだ。


中には掲載料を全く取らない年鑑もあるかもしれないが、
ファインアートの世界で無料の年鑑の存在を僕は知らない。
イラストの世界では時々あるし、僕も掲載してもらったことがあるが、号いくらというような項目はない。
作品紹介ファイルのようなものだ。

あと、装丁がりっぱなほど、この手の年鑑である可能性が高い。

ちなみに本来、作家の絵の値段を号数で掲載するのであれば、
市場調査を厳密にして、その結果を載せるべきだ。

しかし、すべての作家の市場価格を調べるのは不可能だと、ちょっと考えれば簡単に気がつく。
実際、そのような調査をして年鑑をだしている出版社など、この世にないと思う。

もちろん、このような年鑑はアメリカにはなかったし、ヨーロッパにもなかった。
どこか権威主義が好きな国にはあるかもしれないけど。

(念の為だが、オークションの出品目録は、こうした年鑑とは全く異なる性質のものだ。)


さて、
あなたが絵を描く人で、個展やグループ展をやった後に、
「先生の作品を載せさせていただきませんでしょうか?」
というダイレクトメールやら電話やらがきたら要注意!

こちらがお金を払うものは、絶対にだめ!
これは銀座にある画廊の賢者オーナーからも、何度も注意されたことだった。

こうした年鑑や、○展作家という肩書きにだまされずに、自分の好きな絵を楽しむことが一番大切だよね。