このページを読んでくださっているあなたと同じように、ぼくも子供のころから絵が好きだった、とはいうものの、
                        
                        「絵描きは食べれないから、あくまでも趣味で。」
                        
                        という日本の(いや、世界のだね)常識に従い、
                        大学進学時点では絵の学校には進まなかった。
                        
                        当時から芸術の世界に存在する、裏の事情もよく耳に挟んでいたから、どちらかというと、そちらの方がプロとして絵に進まなかった大きな理由だと思う。
                        おかげで、今でも楽しく絵を描くことができる。
                      
                      
                        今から書くことは、プロの画家になり、(画家に限らないけど)日本の芸術業界に飛び込こもうとしている若い人にとっては、とても、とても重大なことだから、書いてみようと思う。
                        結構、知らない人が多いみたいだから。
                        知らないと、何年も絵を描く努力、公募展入選への努力が無駄になる。
                        
                        
                      実は、                      
                      
日本で一番有名な日展(その他県展なども)では、入選する作品数に派閥に属する審査員ごとの枠がある。また、入選した場合には、弟子は多額のお礼金を先生に払わなければならない、などの悪しき慣習がある。
                      
(追記:2014年・・このコラムは数年前に書いたけれど、2013年になって、日展の問題がやっと公になったので、少しは知っている人も増えたかもしれない。また、このコラムの内容が正しいと、僕は再確認した。)
                      
                        
                        
                        よく芸能人が入選する二○展は、
                        「きっと裏で・・・」
                        なんてだれでも想像できるとは思うけれど、
                        僕が今書いているのは、恐れ多くもあの、日展!!のことなんだ。
                        
                        公募展の一般会員で、長年やっていても知らない人もいるから、一般の人の大部分は、この事実は全く知らないと思う。
                        
                        僕も個展などで、
                        「日展で特選をとれるようになったらいいですね。」
                        と、ありがたい励ましのお言葉をいただくことが過去にあったからだ。
                        
                        防衛庁がらみの談合事件とか、教員採用試験の賄賂事件とか、
                        ここ数年表ざたになったものが多いけど、
                        そうしたことが日展作家にも実は存在するんだな。
                        
                      「ええ?芸術家の世界って純粋なんじゃないの!?」
                      
                        残念ながら、芸術作品は客観的な価値判断が難しいので、普通の業界よりもこうしたことが存在する。・・・悲しいかな、これが日本の現実だ。
                        少なくとも、僕が絵を30歳近くになってから本格的に学んだアメリカにはなかった。
                        
                        
                      
                      
                        だから、絵とか芸術が好きだから、がんばって”日展作家”を目指すぞ!
                        と思っている”普通の人”は、ちょっと待って。
                        
                        もし、あなたが大金持ちで、ビジネスの権威だけでは飽き足らず、
                        芸術の世界でも”権威”を持ちたいのなら簡単だ。
                        その人にアドバイスしよう。
                        
                        一番大切なことは、
                        「日展の審査員をやっている先生の系列の先生に弟子入りをする。」
                      ということ。
                      審査員は入選する枠をあてがわれているから。
                       
                      審査員ごとに入選させられる弟子の数が決まっている。
                      日展審査の”前”に、誰が入選するか、誰を入選させるか、ほとんど決まっている。
                       
                      つまり、その先生の弟子でなければ、いくら努力しても入選の枠に入らないのだ。
                        2013年に、この事実は新聞にすっぱ抜かれた。
                      だが、世の中の常で、また忘れ去られてしまうだろう・・・
                      
                        間違えても、自宅から通うのが便利だからと、近くの適当な先生を選んではいけない。
                        (趣味でやる場合はこれでいいのだ。あくまでも日展作家を目指す場合だ。)
                        
                        あとは、うん千万単位、より確実になりたければ、臆単位の出費を覚悟する。
                      なぜかというと、入選予定の作品の先生への個別指導料とか、入選後の謝礼金とかで、かなりの出費がかかるから。
                        
                        「億単位!!!ええ!冗談でしょ!」
                        いえいえ、冗談ではないんだな、これが。
                        ちなみに、公務員の世界ではないから、これは違法行為ではない。
                      
(追記:と書いたが、日展は公益財団法人なので、問題になっている。税金で支払われている内閣総理大臣賞と文部科学大臣賞の表彰と、その関係の表彰式が一時的に中止になった。)
                        
                        
                        そうそう、ちょっと忘れてたけど、絵も一応そこそこ描けなくてはいけないよ。
                        あくまでも、そこそこでいいけど。
                        でも、自信がなければ抽象画にすればこの条件もクリアーだ。
                        (抽象画をバカにしているわけではありませんよ。念の為。僕も抽象画は好きです。)
                        
                        日展会員の間では、
                        「あの人はうん千万のお金で、特選になった・・・」
                        と、ささやかれるが、そんなのは無視をする。
                        
                        そうして、地元の新聞の文化面に載ったら。
                        「夢にも思いませんでした。私ごときが日展特選になるなんて・・・・皆様のおかげです・・・」
                        と涙ぐめばいい。
                        
                        今やあなたは地元では有名な日展作家なのだ!!
                        
                       
                      地方で行われている、県展などにもこうした悪しき習慣はある。
                       
                      それでも、
                      あなたは、公募展に努力して毎年大きくて飾るに困るような絵を出し続けますか?
                       
                      ・・・という世界がイヤで、
                      僕は絵のプロになろうと思った時に、芸術の世界ではなく、実力勝負の商業美術・・イラストレーターの道を選んだ、というわけ。                    
                       
                      商業美術の世界は、上に書いたような世界とは、まったく違う。ある意味、正々堂々、実力の世界だ。
                       
                      参考リンク:
                      日展の審査疑惑は氷山の一角!!絵画部門は更に深い”悪しき慣習”
                      県展出品迫る!!日展幹部在籍の美術家協会は公正な審査ができるか??
                      日展「書」入選を事前調整 篆刻部門、会派ごと振り分け
                      美術界の権威「日展」で不正審査疑惑が発覚!