水彩画用紙の選び方-テスト3
■前回のテストの続き・・・・色を重ねる
テスト会場 前回に塗ったウルトラマリンの上に色を重ねてみました。 1)Wet-in-wetなので、きれいな筆で水を塗り、それが乾かないうちに色を塗ります。 2)ドライヤーで乾かします。 3)また水を塗り、色を重ねるという作業を繰り返します。 4)最後に、少し固めの筆で羊と雲のところの絵具を落として(Lift out)白をだす。 |
■1)アルシュ300g荒目
色を重ねるとよく分かりますが、それぞれの色がよく発色しているので、重ねると深みがでます。 また、下の絵具が凹のところに食い込んで落ちないので、上に絵具を塗っても色がにごりにくいようです。 逆に、色が落ちないということは、羊とか雲のところでは、Lift outで白を出しにくい、という逆効果な面もあります。 写真は、実際よりもかなり暗く写っています。 |
■ワーグマン 350g
発色はそこそこいいのですが・・・ ウルトラマリンの時に出た、うろこ状の模様が、下の草原、のところにも出て、たいへん気になります。 |
■ホワイト ワトソン スケッチブック 190gソフトな発色。 ワーグマンほど、いやなウロコ後ものこっていません。 羊と雲もうまくLift outできました。 |
■ホワイト ワトソン ブロック 300g
目が細かいので、絵具が紙目に食い込みません。 そのため全体的に絵具の乗りが悪く、色が薄くなりました。 ただ、いやな感じのにじみ方ではないので、ソフトという意味では、これはこれでいい感じです。
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■コットマン レンガ色表紙 荒目 230g
オールドマスターと発色が似ています。 ウルトラマリン以外の色は、自然な感じぼけてくれました。
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■オールドマスター 荒目 230g
コットマンと似ています。 これって、同じ紙?名前が違うだけ・・・と思うくらいです。
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■総合評価
さて、数色塗り終わったので、総合的に点を付けてみました。
名前 |
評価 |
感想 |
アルシュ |
9 |
発色が良く、にじみ方も自然 ここぞ!という時に使いたい。 でも10点ではないんだなあ・・ もっといい紙があるかも。 |
ワーグマン
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4 |
荒目、厚さ・・見た目には良かったんだけど・・・ 残念・・・自然にしみ込まないので、 ウロコ状の変な絵具の残り方をしてしまった。 ドーサが強すぎるのかな? |
ワトソン スケッチブック
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6 |
練習用の紙としては丁度よい感じ。 もちろん発色はアルシェにかないませんが。 |
ワトソン ブロック
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5 |
かなり細めで、それだけ薄く発色。 でもソフトで上品な絵ができそう。 |
コットマン
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5 |
これも練習法としては使える。 ワトソンともほとんど差はない。 |
オールド マスター
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5 |
コットマンとよく似ている。 |
スケッチブック |
3 |
Wet-in-wetで使ったのは、この紙に悪かったかな? でも、鉛筆に淡彩なら十分使える。 実際、スケッチには大変活躍している。 |
とういうわけで、最終的には、アルシュが断然抜け出てよい評価だった。
これはやはり予想通り。(値段が高いもの!^^)
では、その次にこの中で使うとしたらどれ??という質問に答えるのならば、
ワトソン スケッチブックかな。
ワトソン ブロックはかなり発色が薄めですが、
ソフトに上品な感じで滲むので、これも使えそうです。
でも、ワトソンと、コットマン、オールド マスターは、ほとんど差がないですね。
紙目が異なるので、個人の好き好きといった方が良いと思います。
残念なのが、ワーグマン。
荒目で厚く(350g)大変、よさそうに思えたのですが、その荒目が逆効果になってしまいました。
紙って、ただ荒いだけではだめで、荒かったらその分、自然にソフトにしみ込まないと、偏った感じで凸凹に絵具がたまるのですね。
今回は、初心者、入門者向けで名前が通っている
コットマン、ワトソンなどの紙を中心に試して見ましたが、
アルシュと差はあるものの、やはり、入門用、練習用としては十分実用になると思いました。
ここぞ!という時にアルシュを使い、普段はコットマン、ワトソンなどで
絵をたくさん描くという使い方が、標準的な学習方法でしょう。
でも、
「私は、最初からアルシュが使いたい!」
という方は、もちろんどうぞ!
いつ何時、傑作が生まれるかも知れません。
たくさん長く描いてから、その後で傑作ができるとは限りません。
最初からアルシュに慣れておくのも、いいでしょう。